
忌避施設と不動産価格の関係
人々が暮らしを送る上で、なくてはならない施設であっても、近くにあってほしいと思う人は少ない施設があります。これを忌避施設と呼びます。人々に敬遠される理由の一つに、生活環境への影響が挙げられます。例えば、下水処理場やごみ処理場は、生活に欠かせない施設ですが、特有のにおいを発生させる可能性があります。また、火葬場や墓地は、死を連想させることから、心理的な抵抗を感じる人もいるでしょう。刑務所や更生施設も、治安への不安から忌避されることがあります。
さらに、騒音や大気汚染を引き起こす可能性のある工場や発電所、送電線なども忌避施設の一つです。工場の稼働音や、発電所の排気ガスは、健康への影響を心配する声も少なくありません。また、送電線の電磁波による健康被害を懸念する人もいます。
ただし、忌避施設の定義はあいまいであり、人それぞれの価値観や考え方によって大きく変わるものだということを忘れてはなりません。ある人にとっては騒音が気になる工場でも、別の場所に住む人にとっては気にならないという場合もあります。また、同じ施設でも、家からの距離や施設の大きさ、管理体制によって、暮らしへの影響の大きさは変わってきます。そのため、一概に忌避施設と決めつけることは難しいと言えるでしょう。大切なのは、それぞれの状況を踏まえて、総合的に判断することです。例えば、施設の周辺環境への配慮や、地域住民とのコミュニケーションを積極的に行っている施設もあります。このような取り組みは、忌避施設に対するイメージの改善に繋がるでしょう。