再調達原価

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不動産価格の原価法:その仕組みと活用

原価法とは、建物を評価する時に、同じ建物を今新しく建てたらいくらかかるかを基に、その価値を計算する方法です。 この方法は、評価したい建物を全く同じように再現するために必要な費用、つまり再調達原価をまず計算します。材料費や人件費など、建設に必要なあらゆる費用が含まれます。ただ、再調達原価だけで評価額とするわけではありません。建物は年月とともに劣化したり、設備が古くなったりします。そのため、再調達原価から、経過年数に応じた価値の低下分を差し引く必要があります。これを減価修正といいます。減価修正には、建物の物理的な劣化だけでなく、設備の機能的陳腐化や、周りの環境変化による経済的陳腐化なども含まれます。これらの要素を総合的に考慮し、再調達原価から適切な金額を差し引くことで、最終的な評価額を算出します。 原価法は、市場で取引されている類似の建物が少ない場合に特に有効です。例えば、工場や学校、病院などの特殊な建物は、一般の住宅のように頻繁に売買されることがありません。そのため、取引事例比較法という、他の建物の売買価格を参考に評価する方法が使いにくいのです。また、比較的新しい建物も、まだ市場での取引事例が少ないため、原価法が適しています。築年数の浅い建物は、減価修正の要素も少なく、再調達原価に近い金額で評価できる場合が多いからです。さらに、原価法は建物の物理的な状況を重視するため、市場の価格変動に影響されにくいというメリットもあります。市場が大きく変動している時期でも、比較的安定した評価額を算出できるため、客観的な評価手法として信頼性が高いと言えるでしょう。