
製造物責任とPL法
製造物責任法、いわゆる生産物責任法は、製造物の欠陥が原因で消費者が損害を被った場合、製造業者などに賠償責任を負わせる法律です。正式名称は製造物責任法ですが、一般的にはPL法(生産物責任法)と呼ばれています。この法律は、消費者の生命、身体、そして財産を守ることを目的として制定されました。
私たちが日々使用する製品には、安全であることが求められます。しかし、製品の設計や製造、指示・表示などに欠陥があると、消費者に思わぬ危害が及ぶ可能性があります。例えば、欠陥のある家電製品が火災を引き起こしたり、玩具の部品が外れて子供が誤飲したりする事故が考えられます。このような場合、従来は消費者が製造業者の過失を証明しなければ損害賠償を求めることは困難でした。つまり、製造業者が製品を作る過程で注意を怠ったことを消費者が証明する必要があったのです。これは専門的な知識が必要で、消費者にとって大きな負担となっていました。
しかし、PL法の施行によって状況は大きく変わりました。PL法では、消費者は製造業者の過失を証明する必要がなく、製品に欠陥があったこと、そしてその欠陥が原因で損害が生じたことを証明すれば十分となりました。これは、消費者の負担を軽減し、被害の救済を容易にするための大きな転換です。
PL法は製造業者にとって厳しい責任を課す法律であるため、企業は製品の安全管理を徹底し、欠陥品の出荷を未然に防ぐ必要があります。具体的には、設計段階での安全性の確認、製造過程における品質管理、そして製品の使用に関する適切な指示・表示などが重要になります。PL法は、製造業者に安全な製品を作る責任を改めて認識させ、消費者の安全を守る上で重要な役割を担っていると言えるでしょう。