減価償却

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減価償却:価値の減少を費用化

『減価償却』とは、建物や機械など、長い期間にわたって事業で使う高額な資産の価値が、時間とともに少しずつ低下していく様子を、帳簿に記録するための手続きです。 たとえば、工場で新しい機械を購入したとします。この機械は購入後すぐに壊れてしまうようなものではなく、何年も使い続けることで製品を作り、利益を生み出してくれるでしょう。しかし、どんな機械でも使えば使うほど古くなり、やがては壊れたり、新しい機械に買い替えたりする必要が生じます。 この「古くなること」による価値の低下を、会計上では『費用』として計上する必要があります。もし、機械を購入した年に全額を費用として計上してしまうと、その年は大きな損失が出てしまいますが、その後何年も利益が出ているのに、機械の費用は計上されなくなってしまうため、正しい利益を把握することができません。 そこで、機械の購入費用を、その機械が使えるであろう期間(耐用年数)に分割して、毎年少しずつ費用として計上していくのです。これが減価償却です。 例えば、1000万円で購入した機械を10年間使うと想定した場合、1年あたり100万円ずつ費用として計上していきます。このようにすることで、機械が利益を生み出している期間に、その機械の費用も適切に計上され、より正確な事業の利益を計算できるようになります。また、高額な資産を購入した年にすべての費用を計上してしまうと、その年は大きな損失が出てしまう可能性がありますが、減価償却を行うことで、費用を分割して計上できるため、急激な損失の発生を防ぎ、安定した経営状態を保つことにも繋がります。
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不動産と耐用年数の関係

建物や設備には、それぞれ使える期間があります。これを耐用年数と言います。耐用年数は、建物や設備がどれくらいの期間、本来の役割を果たせるかを示す大切な目安です。どんなに頑丈な建物でも、時間の経過とともに少しずつ劣化していくため、耐用年数を理解することは、不動産を持つ上で非常に重要です。 新築の状態から、どれくらいの期間住み続けられるのかをあらかじめ知っておくことで、将来かかるであろう修繕費用の準備や、建て替えの時期を考えることができます。また、売却する際の価格にも影響するため、資産価値を維持するためにも役立ちます。例えば、同じ築年数の建物でも、耐用年数が長いと考えられる物件の方が、価値が高いと判断されることがあります。 不動産投資を行う際にも、耐用年数は投資判断に大きく影響します。なぜなら、投資物件から得られる利益は、建物の維持管理にかかる費用を差し引いて計算されるからです。耐用年数が短い物件は、修繕費用が多くかかる可能性があり、結果として利益が少なくなる可能性があります。また、耐用年数が建物の価値に影響を与えるため、売却益にも関わってきます。 耐用年数は、建物の構造や材質、使用状況、メンテナンス状況などによって変化します。木造住宅、鉄筋コンクリート造住宅、鉄骨造住宅など、建物の構造によって耐用年数は大きく異なり、適切な管理や修繕を行うことで、耐用年数を延ばすことも可能です。日頃から建物の状態をチェックし、必要な修繕を適切な時期に行うことで、建物の寿命を長く保つことができます。そのため、耐用年数はあくまでも目安であり、実際の使用可能期間は、建物の管理状況によって大きく左右されることを覚えておきましょう。