税金 短期譲渡の基礎知識
短期譲渡とは、土地や建物といった不動産を手に入れてから五年以内に売ってしまうことを言います。五年という期間は、実際に住んでいたか賃貸に出していたかに関係なく、所有権を得た日から売却した日までの期間で計算されます。例えば、マンションや一戸建ての家、更には土地などを買って、五年経たないうちに売れば、短期譲渡にあたります。逆に、五年を超えてから売却した場合は長期譲渡と呼ばれ、税金の計算方法が大きく変わってきます。短期譲渡と長期譲渡では、売った時に得た利益にかかる税金、すなわち譲渡所得税の計算方法が全く違います。短期譲渡の場合、税率が高く設定されているため、利益から引かれる税金も多くなります。これは、短期的に何度も売買を繰り返すことで利益を得ようとする投機的な取引を抑え、不動産市場の健全な発展を促すための仕組みです。具体的に言うと、短期譲渡の譲渡所得は、所得税と住民税を合わせて、利益の約三割九分もの税金がかかります。一方、長期譲渡の場合は、所得税と住民税を合わせて約二割もの税金がかかります。ですから、短期譲渡と長期譲渡で税率に大きな違いがあることが分かります。例えば、ある土地を売って五百万円の利益が出たとします。短期譲渡の場合、税金は約百九十五万円にもなりますが、長期譲渡であれば約百万円です。このように、売却益が同じでも、所有期間が五年を超えるか超えないかで、手元に残る金額が大きく変わってくるのです。不動産投資を行う上で、短期譲渡と長期譲渡の違いを理解しておくことは、とても大切なことです。売却のタイミングを五年後以降にすることで、税金を抑え、より多くの利益を確保できる可能性が高まります。
