都市計画区域と市街化区域の違い
不動産について知りたい
先生、都市計画区域と市街化区域の違いがよくわからないのですが、教えていただけますか?
不動産アドバイザー
いいですよ。都市計画区域とは、簡単に言うと町づくりをする範囲を決めた区域のことです。市街化区域とは、その中で、すでに家が建っているところや、これから10年以内に優先的に家を建てていくと決めた区域のことです。つまり、都市計画区域の中に市街化区域があると考えてください。
不動産について知りたい
なるほど。ということは、都市計画区域には、市街化区域以外の区域もあるということですか?
不動産アドバイザー
その通りです。都市計画区域の中には、市街化区域の他に、市街化調整区域と非線引区域があります。市街化調整区域は、市街化を抑制する区域、非線引区域は都市計画区域の中でも特に何も定めていない区域です。詳しくは改めて説明しましょう。
都市計画区域と市街化区域とは。
『都市計画区域』と『市街化区域』について説明します。どちらもまちづくりに関する言葉です。『都市計画区域』とは、都市計画法という法律に基づいて決められた、まちづくりの計画を立てる地域のことです。この都市計画区域の中には、いくつかの種類の区域があります。『市街化区域』は、すでに街ができている区域や、これから10年以内に優先的に街づくりを進める区域です。つまり、『市街化区域』は『都市計画区域』の中に含まれています。『都市計画区域』の中には、『市街化区域』以外にも、『市街化調整区域』と『非線引区域』と呼ばれる区域があります。
都市計画区域とは
都市計画区域とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を目指すために、都市計画法に基づいて定められる区域のことです。簡単に言うと、将来の都市の姿を描いて、計画的にまちづくりを進めていく範囲のことです。
この区域内では、様々なルールが定められています。例えば、建物の用途や高さの制限、道路や公園といった公共施設の配置などが決められています。これらのルールは、無秩序な開発を防ぎ、快適な生活環境を守るために重要な役割を果たしています。たとえば、住宅地に工場が建つことを防いだり、建物の高さを制限することで日当たりを確保したり、公園を適切に配置することで緑豊かな環境を保ったりすることができます。
都市計画区域は、都道府県知事が指定します。区域の範囲は、都市の規模や発展状況によって異なります。例えば、人口増加が見込まれる地域や、既に発展している市街地と一体となって発展していくべき地域などが指定されます。
また、一度指定された都市計画区域であっても、社会情勢の変化に応じて見直されることがあります。例えば、大規模な開発計画が持ち上がった場合や、人口減少が進んでいる場合などに見直しが行われます。これは、都市の状況変化に対応し、常に最適な都市計画を維持するために必要な措置です。
都市計画区域は、私たちの暮らしをより良くするための重要な制度です。この制度によって、快適で安全な都市環境が守られています。私たちも都市計画に関心を持ち、より良いまちづくりに貢献していくことが大切です。
項目 | 説明 |
---|---|
定義 | 都市の健全な発展と秩序ある整備を目指すために、都市計画法に基づいて定められる区域。計画的にまちづくりを進めていく範囲。 |
目的 | 無秩序な開発を防ぎ、快適な生活環境を守る。 |
内容 | 建物の用途や高さの制限、道路や公園といった公共施設の配置などを定める。 |
効果 | 住宅地に工場が建つことを防ぐ、日当たりを確保する、緑豊かな環境を保つなど。 |
指定 | 都道府県知事が指定。都市の規模や発展状況によって範囲が異なる。人口増加が見込まれる地域や、既に発展している市街地と一体となって発展していくべき地域などが指定される。 |
見直し | 社会情勢の変化(大規模な開発計画、人口減少など)に応じて見直しが行われる。 |
市街化区域とは
都市計画区域のうち、すでに街ができている区域や、これから10年ほどで優先的に街づくりを進める区域を市街化区域といいます。簡単に言うと、都市計画区域の中で、積極的に建物を建てたり、道路や公園などの公共設備を整えたりする区域のことです。
この区域では、家やお店、工場などを建てることが比較的自由に認められています。ですから、市街化区域は街のにぎわいの中心となる重要な役割を担っています。たとえば、活気あふれる商店街や高層ビルが立ち並ぶオフィス街、快適な住まいが集まる住宅地など、私たちの暮らしに欠かせない様々なものが、この市街化区域に集中しています。
この市街化区域は、都市計画区域の一部です。都市計画区域であっても、市街化区域以外の場所は、開発に制限がかかることがあります。なぜなら、計画性のない街の広がりを抑え、自然や田畑などを守る必要があるからです。無秩序に開発が進むと、緑地が減少し、自然災害のリスクが高まる可能性があります。また、農地が失われると、食料自給率の低下につながる恐れもあります。
つまり、市街化区域は、計画的に街づくりを進め、都市機能の充実と環境保全の両立を目指すために重要な役割を果たしている区域と言えるでしょう。限られた土地を有効に活用し、人々が快適に暮らせる街を築き、同時に貴重な自然を守っていくために、市街化区域と市街化調整区域の区分は必要不可欠なのです。
区域 | 説明 | 役割 |
---|---|---|
市街化区域 | すでに街ができている区域や、これから10年ほどで優先的に街づくりを進める区域。建物建築や公共設備整備が比較的自由に認められている。 | 街のにぎわいの中心。商店街、オフィス街、住宅地など、暮らしに欠かせない様々なものが集中。 |
市街化調整区域 | 都市計画区域のうち、市街化区域以外の区域。開発に制限がかかる。 | 計画性のない街の広がりを抑え、自然や田畑などを守る。無秩序な開発による緑地減少、自然災害リスク増加、農地喪失を防ぐ。 |
両区域の関係性
街づくりを進める上で欠かせないのが、まちの将来像を描くことです。その将来像を描く際に重要な要素となるのが、都市計画区域と市街化区域です。これら2つの区域は、入れ子構造の関係にあります。都市計画区域とは、都市計画法に基づいて指定される区域で、計画的にまちづくりを進めていく範囲を示しています。この区域は、都市の成長を見据え、広めに設定されます。そして、この大きな枠組みである都市計画区域の中に、市街化区域と市街化調整区域、そして非線引区域が含まれます。
市街化区域は、都市計画区域の中で、すでに建物が建ち並んで街となっている区域、もしくは概ね10年以内に優先的に街づくりを進めていくべき区域です。言い換えれば、積極的に開発を進めるべき区域と言えるでしょう。この区域では、建物を建てることや開発行為などが比較的容易に行えます。一方、市街化調整区域は、市街化を抑制する区域です。原則として新たな開発は認められず、自然環境や農地などを保全することを目的としています。そして非線引区域は、都市計画区域ではありますが、市街化区域か市街化調整区域かの線引きがされていない区域です。主に、農地や山林などで構成されています。
このように、都市計画区域という大きな枠組みの中で、市街化区域は優先的に開発を進める区域、市街化調整区域は開発を抑制する区域、非線引区域は線引きがされていない区域として位置づけられています。これらの区域指定によって、無秩序な開発を防ぎ、計画的にまちづくりを進めることが可能となります。それぞれの区域の特性を理解し、都市の将来像に合った街づくりを進めていくことが重要です。
市街化調整区域
都市計画区域の中には、街を活発にする場所の他に、市街化調整区域と呼ばれる場所があります。市街化調整区域とは、都市の無秩序な広がりを食い止め、田園風景や自然環境を守るために、街づくりを抑える区域です。ここでは、原則として建物を建てるなどの開発行為が制限されています。
この区域では、家や店などの建築は厳しく制限されており、田畑や山林、漁場といった土地の使い方が主となります。あたり一面に広がる田んぼや緑豊かな山林、静かな漁村といった風景が広がり、自然と調和した暮らしが守られています。街の喧騒から離れ、ゆったりとした時間を過ごしたい人にとっては魅力的な場所かもしれません。
ただし、全く開発ができないわけではなく、一定の条件を満たせば認められる場合があります。例えば、地域の人々にとって必要な学校や病院、図書館などの公共の施設や、生活に欠かせない小さな商店などは、許可を得て建てることができます。また、農家の方が農業を続けるために必要な小屋や倉庫なども、建てられる場合があります。
市街化調整区域は、都市の広がりを調整し、自然環境と調和したバランスの取れた街づくりを行う上で重要な役割を担っています。無秩序な開発を防ぎ、貴重な自然や田園風景を守ることで、私たちの暮らしを支える大切な資源を守り、将来の世代へ受け継いでいくことができます。一方で、開発が制限されるため、土地の価格が市街化区域に比べて低い傾向があります。また、建築の制限が厳しいため、自分の思い通りの家を建てることが難しい場合もあります。そのため、市街化調整区域に住む場合は、その特性をよく理解し、将来の計画を慎重に立てる必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 都市の無秩序な広がりを抑制、田園風景や自然環境の保全 |
主な土地利用 | 田畑、山林、漁場など |
開発行為 | 原則として制限 |
例外的に認められる開発 | 公共施設(学校、病院、図書館など)、生活に必要な小規模店舗、農業用施設など |
メリット | 自然と調和した暮らし、街の喧騒から離れた生活 |
デメリット | 土地価格が市街化区域に比べて低い、建築制限が厳しい |
その他 | 将来の計画を慎重に立てる必要がある |
非線引区域
街の将来像を描く都市計画区域とは異なり、線引きがされていない区域のことを非線引区域と言います。これは都市計画区域外に位置し、主に地方で見られます。都市計画区域内では用途地域や建ぺい率、容積率といった細かいルールで土地の使い方が決められていますが、非線引区域にはそのような細かいルールはありません。
ただし、何もかも自由にできるわけではありません。建物の高さや構造、設備などに関する建築基準法をはじめ、他の法律に基づく規制は非線引区域にも適用されます。例えば、周りの環境に配慮した適切な排水設備の設置や、火災予防のための設備の設置などが求められます。また、農地や森林など、特定の目的のために利用されている土地は、それぞれの目的に合わせた法律によって守られています。
都市計画区域に比べて開発の制限が少ない非線引区域は、地方の中心部を中心に、住宅地や商店、工場などが建てられています。開発しやすいという特徴から、地方の活性化に役立つ面もあります。しかし、開発が急速に進みすぎると、周りの環境との調和が乱れたり、自然が壊されたりするといった問題も起こりえます。例えば、住宅が密集しすぎて日当たりが悪くなったり、緑地が減ってしまい地域の景観が損なわれたりすることがあります。また、下水道などのインフラ整備が追いつかず、生活環境が悪化する可能性もあります。
このような問題を防ぐため、非線引区域でも将来を見据えた土地利用計画を立て、環境を守りながら地域を発展させていくことが大切です。例えば、緑地を保全するための区域を設けたり、建物の高さを制限したりといった工夫をすることで、自然と調和した美しい街並みを作ることができます。また、地域住民の意見を取り入れながら計画を進めることで、より住みやすい街づくりを進めることができます。
項目 | 線引区域 | 非線引区域 |
---|---|---|
位置 | 都市計画区域内 | 都市計画区域外 (主に地方) |
土地利用規制 | 用途地域、建ぺい率、容積率など細かいルールあり | 細かいルールなし (ただし建築基準法等の規制は適用) |
開発の制限 | あり | 少ない |
開発状況 | 計画に基づいた開発 | 住宅地、商店、工場など |
メリット | 計画的な街づくりが可能 | 地方活性化に貢献 |
デメリット | 柔軟な開発が難しい場合あり | 環境問題、インフラ整備の遅れなどの問題発生の可能性 |
今後の課題 | 変化への対応 | 環境保全と調和した開発、住民参加型の計画 |
まとめ
人が暮らす街の整備、発展のためには、計画に基づいた土地の利用が欠かせません。この土地利用の計画において、重要な役割を果たすのが都市計画区域と市街化区域です。これらの区域の持つ性質を正しく理解することは、土地や建物を扱う仕事や、土地利用の計画を立てる上で、とても大切なことです。
都市計画区域とは、都市計画法という法律に基づいて定められた区域のことです。この区域の中には、市街化区域、市街化調整区域、非線引区域の三つの種類があります。市街化区域とは、既に街として発展している区域、もしくは今後十年ほどで優先的に街づくりを進めるべき区域です。ここでは、建物を建てるといった開発行為が比較的容易に行えます。一方、市街化調整区域は、街としての発展を抑えるべき区域です。原則として新たな開発は認められておらず、開発行為は厳しく制限されています。非線引区域とは、都市計画区域の外にあり、区域区分がされていない場所のことです。
市街化区域、市街化調整区域、非線引区域、それぞれの区域の指定や、開発に関する制限は、街の健全な発展と整った整備を実現するために行われています。それぞれの区域の特徴を理解することで、より効果的で無駄のない土地利用の計画を立てることができます。また、土地や建物への投資を行う際にも、これらの区域指定について知っていれば、リスクを避け、より的確な投資判断を行うことが可能になります。それぞれの区域の特性を踏まえ、将来を見据えた土地利用計画や投資判断が重要となります。