環境に優しい建材、エンジニアリングウッド

環境に優しい建材、エンジニアリングウッド

不動産について知りたい

『加工した木』っていう意味のエンジニアリングウッドって、普通の木と何が違うんですか?

不動産アドバイザー

いい質問ですね。普通の木は、そのまま丸太を切ったものや製材したものを使います。エンジニアリングウッドは、小さな木片や端材を接着剤でくっつけて大きな板にしたものです。なので、普通の木のように一本の木から作られるのではなく、複数の木を組み合わせて作られます。

不動産について知りたい

なるほど。くっつけた木で作られているんですね。それだと、強度は大丈夫なんですか?

不動産アドバイザー

はい、小さな木片を組み合わせることで、むしろ普通の木よりも強度や安定性を高めることができるんですよ。また、端材を使うので、環境にも優しいという利点もあります。

エンジニアリングウッドとは。

木を材料とした『造り木』について説明します。『造り木』とは、木を接着剤でくっつけて、圧力をかけて固めた木質材料のことです。普通の木よりも安定していて、強いのが特徴です。短い木材や、使われなかった木材を加工して作るので、環境にも優しい材料です。

エンジニアリングウッドとは

エンジニアリングウッドとは

エンジニアリングウッドとは、木材を加工し、製造された建築材料のことです。天然の木をそのまま使う無垢材とは異なり、小さな木材の切れ端や、使われずに残ってしまった木材を有効活用して作られます。これらの小さな木材は、接着剤を使って繋ぎ合わせられ、大きな圧力をかけることで一体化し、成形されます。

エンジニアリングウッドは、複数の木材を組み合わせているため、大きな寸法の板材を作ることが可能です。一枚板の大きな木を切り出すのは難しく、また費用も高くなりますが、エンジニアリングウッドであれば、比較的容易に大きな板材を手に入れることができます。例えば、広いリビングの床材や、天井の高い吹き抜け部分の梁など、大きな建築部材が必要な場合に適しています。

さらに、エンジニアリングウッドは、製造過程で木材の欠点を取り除くことができるため、強度と安定性に優れているという特徴も持っています。節や割れ、反りなどの欠点がある木材は、そのまま使うには強度が不足する場合があります。しかし、エンジニアリングウッドは、これらの欠点部分をあらかじめ取り除いたり、小さな木材を組み合わせることで欠点の影響を小さくしたりすることで、強度を高めています。そのため、構造材としても安心して使用できます。

近年、世界中で環境保護への意識が高まっていますが、エンジニアリングウッドは、まさに環境に配慮した建材と言えるでしょう。木材の切れ端や廃材を利用することで、森林資源の有効活用に繋がり、無駄を減らすことができます。限りある資源を大切にするという観点からも、エンジニアリングウッドは注目を集めているのです。このように、エンジニアリングウッドは、様々な利点を持つ優れた建材であり、今後の建築業界でますます需要が高まっていくと考えられます。

項目 内容
定義 加工・製造された建築材料。木材の切れ端や廃材を接着・圧縮成形。
メリット
  • 大きな寸法の板材を製造可能(広いリビングの床材、吹き抜けの梁など)
  • 強度と安定性に優れる(欠点部分の除去、小さな木材の組み合わせ)
  • 環境に配慮(森林資源の有効活用、廃材利用)
将来性 建築業界での需要増加が見込まれる

エンジニアリングウッドの種類

エンジニアリングウッドの種類

木材を加工し、新たな建材として生まれ変わった物が、加工木材です。加工木材は、天然木材に比べて強度や寸法安定性に優れ、様々な場所で利用されています。今回は、代表的な加工木材の種類についてご紹介します。

まず、合板です。薄い板状の木材を、繊維の向きが層ごとに直角になるように重ねて接着したものです。繊維方向を交差させることで、一枚板の木材よりも強度と寸法安定性が向上します。床材や壁材、家具など、幅広い用途で利用されています。

次に、単板積層材(LVL)です。薄い板状の木材を、繊維の向きを揃えて接着したものです。合板とは異なり、繊維方向を揃えることで、高い強度と曲げ剛性を実現しています。梁や柱などの構造材として、建物を支える重要な役割を担っています。

集成材も、加工木材の一つです。小さな角材を接着剤で接合して、大きな板材に加工したものです。天然木材の大断面材に比べて、乾燥による割れや狂いが少ないという特徴があります。家具や床材、階段材など、様々な用途で利用されています。

パーティクルボードは、木材のチップを接着剤で固めた板材です。製造工程で木材を余すことなく活用できるため、低価格であることが大きな利点です。家具の芯材や下地材など、見えない部分で活躍しています。

最後に、繊維板(MDF)です。木材繊維を接着剤で固めた板材で、表面が滑らかであることが特徴です。家具や内装材、スピーカーの筐体など、様々な用途で利用されています。

このように、加工木材は種類によって特性や用途が大きく異なります。それぞれの特性を理解し、適切な材料を選ぶことが大切です。

加工木材の種類 特徴 用途
合板 薄い板状の木材を繊維の向きが層ごとに直角になるように重ねて接着。強度と寸法安定性に優れる。 床材、壁材、家具など
単板積層材(LVL) 薄い板状の木材を繊維の向きを揃えて接着。高い強度と曲げ剛性を実現。 梁、柱などの構造材
集成材 小さな角材を接着剤で接合して大きな板材に加工。乾燥による割れや狂いが少ない。 家具、床材、階段材など
パーティクルボード 木材のチップを接着剤で固めた板材。低価格。 家具の芯材、下地材など
繊維板(MDF) 木材繊維を接着剤で固めた板材。表面が滑らか。 家具、内装材、スピーカーの筐体など

エンジニアリングウッドのメリット

エンジニアリングウッドのメリット

合板と呼ばれるエンジニアリングウッドは、天然の木材と比べて多くの利点を持っています。まず、形が変わりにくいことが大きな特徴です。普通の木材は、空気中の水分や温度の変化によって伸び縮みしやすい性質がありますが、エンジニアリングウッドは製造の段階で木質繊維の方向を揃えることで、この伸び縮みを抑えています。そのため、反ったり割れたりする心配が少なく、安心して家づくりに使うことができます。

次に、エンジニアリングウッドは強度が高く、どの部分も同じような性質を持っているという利点があります。普通の木材は、節や木目によって強度が異なる場合がありますが、エンジニアリングウッドは均一な強度を持つため、建物の構造を支える部材としても安心して使うことができます。特に、梁や柱などの重要な部分には、この均一な強度が不可欠です。安定した強度を持つことで、建物の安全性と耐久性を高めることに繋がります。

さらに、エンジニアリングウッドは、環境への配慮という点でも優れています。木材を加工する際に出る端材や、使われなくなった木材などを活用して作られるため、資源を無駄にすることがありません。森林資源を大切に使い、二酸化炭素の排出量を減らすことにも貢献しています。限られた資源を有効活用しながら、地球環境を守る上で、エンジニアリングウッドは重要な役割を担っていると言えるでしょう。

このように、エンジニアリングウッドは、形が安定していて、強度が高く、環境にも優しいという多くの利点を持つ建材です。住宅だけでなく、商業施設や公共施設など、様々な建物で利用されており、これからの建築にとって欠かせない材料となるでしょう。

メリット 説明
形状安定性 木質繊維の方向を揃えることで、木材の伸び縮みを抑制し、反りや割れを防ぐ。
高強度・均質性 均一な強度を持つため、節や木目による強度差がなく、構造部材に最適。
環境への配慮 端材や廃材を活用するため、資源の無駄を省き、森林資源の保護、CO2排出削減に貢献。

エンジニアリングウッドのデメリット

エンジニアリングウッドのデメリット

建築の材料として注目を集めているエンジニアリングウッドですが、良い点ばかりではありません。いくつか注意すべき点も存在しますので、導入を検討する際には、メリットだけでなくデメリットについても理解しておくことが大切です。

まず、エンジニアリングウッドは、薄い板を接着剤で貼り合わせて製造されています。この接着剤に含まれる化学物質が、人体に悪影響を与える可能性が懸念されています。代表的なものとして、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)が挙げられます。VOCは、目や鼻、喉などの粘膜への刺激、頭痛、めまい、吐き気などを引き起こすことがあります。ただし、近年ではVOCの発生量を抑えた接着剤が開発されており、以前と比べて安全性は向上しています。とはいえ、使用する製品のVOC放散等級などを確認し、できるだけ低VOCのものを選ぶようにしましょう。

次に、エンジニアリングウッドは水に弱いという性質があります。これは、接着剤が水に溶けることで、板同士の接着力が弱まり、強度が低下してしまうためです。屋外や湿気の多い場所で使用する場合は、特に注意が必要です。防水加工が施された製品を選ぶ、あるいは、表面に塗料を塗るなどして、水から守る工夫をしましょう。水に濡れてしまった場合は、すぐに拭き取り、乾燥させることが大切です。

さらに、見た目の点についても触れておきます。エンジニアリングウッドは、工業製品であるがゆえに、自然素材である無垢材のような、自然な風合いを出すことが難しいという側面があります。木目や色合いなどが均一になりがちで、無垢材特有の温かみ、味わいを求める人には、物足りないと感じるかもしれません。

エンジニアリングウッドは、強度や寸法安定性などに優れ、コストパフォーマンスにも優れた建材ですが、今回挙げたようなデメリットも存在します。使用する場所や用途、予算などを考慮し、無垢材と比較検討しながら、最適な材料を選びましょう。

メリット デメリット 対策
強度や寸法安定性に優れ、コストパフォーマンスにも優れている。 接着剤に含まれる化学物質(VOC)による健康への影響(シックハウス症候群など) VOC放散等級の低い製品を選ぶ。
水に弱い(接着剤が水に溶けることで強度が低下する) 防水加工された製品を選ぶ、表面に塗料を塗る、水に濡れたらすぐに拭き取り乾燥させる。
自然素材のような自然な風合いが出しにくい。木目や色合いが均一になりがち。 無垢材と比較検討し、用途に応じて使い分ける。

エンジニアリングウッドの利用例

エンジニアリングウッドの利用例

加工木材は、住宅から商業施設まで、実に様々な建物で使われています。その用途は、床材、壁材、天井材といった内装材から、建物を支える構造材、そして家具や建具にまで及び、多岐にわたります。

例えば、薄い板を重ねて接着した合板は、床や壁の下地材として広く使われています。これは、合板が強度と寸法安定性に優れているためです。強度が必要とされる床や壁の下地として、合板は建物の安定性を高める役割を果たしています。また、薄い板を繊維方向を揃えて接着した単板積層材(LVL)は、梁や柱などの構造材として利用されます。LVLは、木材本来の強度を生かしつつ、より長く、より均一な強度を持つ材料として重宝されています。特に、大空間を作る際に必要な長い梁や、建物を支える重要な柱としてLVLは欠かせない存在です。

さらに、小さな木材を接着して大きな部材にした集成材は、大断面の部材が必要な場合に用いられます。体育館やホールなどの大空間を支える梁や柱として、集成材は高い強度と美しい木目を提供します。また、集成材は、家具や階段の材料としても人気があります。木目が美しく、強度も高いことから、デザイン性と機能性を両立できる材料として選ばれています。木材のチップを接着剤と混ぜて成型したパーティクルボードは、家具や棚板などに利用されています。加工が容易で安価なため、様々な家具に活用されています。同じく木材繊維を原料とする繊維板は、家具の扉や引き出しなどに利用されています。表面が滑らかで塗装もしやすいため、家具の仕上がりの美しさを高めることができます。

このように、加工木材は、それぞれの特性を生かして様々な用途で使われ、現代の建築には欠かせない材料となっています。その高い汎用性と安定した品質は、これからも様々な建築物を支えていくことでしょう。

加工木材の種類 特徴 用途
合板 強度と寸法安定性に優れている 床や壁の下地材
単板積層材(LVL) 木材本来の強度を生かしつつ、より長く、より均一な強度を持つ 梁や柱などの構造材
集成材 大断面の部材が可能、高い強度と美しい木目 大空間の梁や柱、家具、階段
パーティクルボード 加工が容易で安価 家具や棚板
繊維板 表面が滑らかで塗装しやすい 家具の扉や引き出し

今後の展望

今後の展望

木材を加工して作る建材、いわゆる木質材料は、これからの時代に欠かせないものとなるでしょう。環境への意識が高まる中で、木質材料は限りある資源である木材を大切に使うという点で、とても重要な役割を担っています。木をそのまま使うよりも、細かく砕いたり、薄くスライスしたりして、改めて組み立てることで、捨てる部分を減らし、木材を余すことなく活用できるのです。

木質材料は、ただ木材を有効に使うだけでなく、性能面でも優れています。強度を高めたり、腐りにくくしたり、燃えにくくしたりと、様々な工夫が凝らされています。例えば、集成材という種類の木質材料は、薄い板を何層にも重ねて接着することで、一本の木材よりも強度を高めています。また、繊維板は木材の繊維を細かく砕いて、接着剤と混ぜて成型することで、均一な強度と滑らかな表面を作り出しています。

技術の進歩とともに、木質材料はさらに進化を続けています。直交集成板(CLT)は、板の層を互い違いに重ねて接着したもので、高い強度と耐震性を実現しています。まるで巨大な積み木のようなこの材料は、大きな建物を作るのにも役立ちます。また、新しい接着剤や加工技術の開発により、より強く、より耐久性に優れた木質材料が次々と生まれています。

木質材料は、家やビルなどの建物だけでなく、橋やトンネルなどの土木構造物にも使われ始めています。木材は軽くて加工しやすいという特徴があるので、工事の効率化にもつながります。さらに、木を使うことで、建物や構造物に温かみと安らぎを与えることもできます。

資源を大切に使い、環境を守るという視点からも、木質材料は未来の社会に欠かせない存在となるでしょう。木の温もりを感じながら、持続可能な社会を実現するために、木質材料はますます重要な役割を担っていくと考えられます。

種類 特徴 用途
集成材 薄い板を何層にも重ねて接着することで、一本の木材よりも強度を高めている。 建物、構造物
繊維板 木材の繊維を細かく砕いて、接着剤と混ぜて成型することで、均一な強度と滑らかな表面を作り出している。 建物、家具
直交集成板(CLT) 板の層を互い違いに重ねて接着したもので、高い強度と耐震性を実現。 大きな建物、土木構造物