
左右非対称の美:アシンメトリーの魅力
左右対称でないこと、つまり左右非対称とは、中心を境にして左右が同じ形でないことを指します。ちょうど鏡に映したように、左右が同じ形であることを左右対称と言いますが、左右非対称はこれとは反対の概念です。たとえば、人間の顔をよく見てみると、左右の目の大きさが違ったり、眉の形が違ったり、口角の上がり方が違ったりと、微妙に左右が異なっています。また、自然界に目を向けてみると、木の枝の広がり方や葉のつき方、岩の形など、左右対称であるものはむしろ珍しく、多くのものが左右非対称の形をしています。
この左右非対称こそが、自然の造形美、独特の趣を生み出していると言えるでしょう。左右非対称は、均一でない変化に富んだ形であるがゆえに、見る人に動きや奥行きを感じさせ、自然な美しさ、面白さを与えます。一方、左右対称であることは、均整が取れており、安定感や静的な印象を与えます。左右対称は、建物や庭園のデザインなど、人工的な構造物によく用いられます。
左右非対称にも様々な種類があります。たとえば、全体としては左右非対称でありながらも、部分的に左右対称の要素を取り入れている場合もあります。また、左右の要素が大きさや形は違うものの、配置のバランスが取れていることで、全体として調和のとれた美しさを持つ場合もあります。このように左右非対称は、単に左右が異なるだけでなく、多様な表現を生み出す要素となります。左右対称が整然とした美しさを持つ一方、左右非対称は、自然で生き生きとした美しさ、面白さ、そして奥深さを持つと言えるでしょう。