住宅設計

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間取り

階段の安全設計:蹴込みの重要性

階段は、建物の階層を繋ぐ大切な通路です。その階段を構成する要素の一つに、踏み板と呼ばれる、足を置く板状の部分があります。そして、この踏み板の先端から奥まった垂直な部分を蹴込み(けこみ)と言います。蹴込みは、足を踏み上げる際に、つま先が触れる部分です。別名で転びとも呼ばれ、階段を安全に昇り降りするために重要な役割を担っています。 蹴込みの深さは、階段の上り下りのしやすさ、ひいては安全に大きく関わってきます。もし蹴込みが浅すぎると、足を踏み外して転倒する危険性が増します。足を乗せる面が少ないため、バランスを崩しやすくなるからです。一方、蹴込みが深すぎると、今度はつま先が引っ掛かりやすくなり、これもまた転倒の原因となります。特に、高齢者や小さなお子さんなどは、蹴込みの深さに注意が必要です。階段を昇り降りする際に、つま先が引っ掛かってしまうと、大きな怪我に繋がる可能性もあります。 安全な階段を設計するために、建築基準法では、蹴込みの寸法について基準が定められています。適切な蹴込みの深さは、階段の傾斜や踏み板の幅など、他の要素とのバランスも考慮して決められます。快適で安全な階段を実現するためには、これらの要素を総合的に検討し、最適な設計を行うことが重要です。階段は毎日の生活で何度も利用する場所です。だからこそ、安全で使いやすい階段にするために、蹴込みの重要性を理解し、適切な設計、施工を心がける必要があると言えるでしょう。