尺モジュール

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建築方法

モジュールで変わる家の設計

家は、まるで積み木を組み立てるように、一つ一つの部品を組み合わせて作られます。その際に、部品の大きさや組み合わせ方を決める基本的な物差しとなるのが「モジュール」です。家づくりにおけるモジュールとは、柱と柱の中心線から中心線までの距離、すなわち一区切りの長さのことを指します。この柱と柱の間隔を「スパン」とも呼び、このスパンの長さが部屋の広さや建物の全体の大きさを左右する重要な要素となります。 適切なモジュールを選ぶことは、空間を無駄なく使い切る上でとても大切です。例えば、部屋の大きさがモジュールに合わせて設計されていれば、家具をぴったりと配置しやすくなり、デッドスペースを減らすことができます。また、建築費用を抑える上でも、モジュールは重要な役割を果たします。モジュールに合わせた規格品の建材を使うことで、材料の無駄を省き、施工の手間も減らすことができるため、結果として建築費用を抑えることに繋がります。 住宅で一般的に用いられるモジュールには、大きく分けて尺モジュールとメーターモジュールがあります。尺モジュールは、日本の伝統的な長さの単位である「尺」を基準としたモジュールで、一尺は約303mmです。古くから日本で使われてきた寸法のため、日本の風土や生活様式に合った家づくりに適しています。一方、メーターモジュールは、メートル法を基準としたモジュールで、設計や施工が分かりやすいという利点があります。最近では、メーターモジュールを採用する住宅が増えてきています。それぞれのモジュールには、それぞれに良さがあるので、自分の建てたい家のイメージやライフスタイルに合わせて、最適なモジュールを選ぶことが大切です。
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メーターモジュールで広々空間を実現

メートル法に基づく設計の規格「メーターモジュール」は、住宅設計の基本単位を1メートル(1000ミリメートル)とした規格です。従来の尺モジュール(910ミリメートルを基準とする)とは異なり、計算が容易で分かりやすいという長所があります。 設計図面の数値は、そのままミリメートル単位で表示されるため、一目見て寸法を理解しやすいという利点があります。これは、施工現場での作業ミスを減らし、作業効率の向上に繋がります。例えば、壁や窓の位置、間取りの寸法などを把握する際に、尺貫法からの変換が必要なく、現場での混乱を防ぎ、迅速かつ正確な作業を可能にします。 設計段階においても、メーターモジュールは様々な部材の配置検討をスムーズにします。キッチン、浴室、トイレなどの設備機器や、家具の配置を計画する際にも、メートル法で統一されていることで、計算の手間を省き、効率的に作業を進めることができます。また、建材メーカーもメートル法に合わせた規格で製品を製造しているため、部材の選定も容易になり、無駄なコストを抑えることにも繋がります。 メーターモジュールは、設計者や施工者だけでなく、住む人にも多くのメリットをもたらします。「一間(いっけん)」などの尺貫法による曖昧な表現ではなく、メートル法で部屋の広さを把握できるため、家具の配置や生活動線のイメージがしやすくなります。また、広く開放的な空間設計にも適しており、ゆとりのある居住空間を実現することができます。 近年、メーターモジュールを採用する住宅が増えており、新しい住宅設計の規格として注目を集めています。設計や施工の効率化、住む人の快適性向上など、多くの利点を持つメーターモジュールは、今後の住宅設計の主流となる可能性を秘めています。