
二重価格表示の落とし穴
二重価格表示とは、商品やサービスの価格を二つ並べて表示する販売方法のことです。よく目にする例としては、チラシやウェブサイトで「通常価格5万円、本日限り特価4万円」のように表示されているものがあります。一見お得に見えますが、この表示方法には注意が必要です。
二重価格表示の目的は、主に消費者に価格の安さを印象づけ、購買意欲を高めることにあります。例えば、通常価格と比較して大幅に値下げされた価格を表示することで、「今買わなければ損だ」と思わせ、購入を促す効果を狙っています。しかし、この表示方法には落とし穴があります。
表示された価格が事実と異なっている場合、景品表示法違反となる可能性があります。景品表示法は、消費者を欺くような不当な表示を禁止しています。例えば、実際には5万円で販売していた実績がないにも関わらず、あたかも5万円から4万円に値引きしたかのように表示するのは、消費者を欺く行為とみなされ、景品表示法に抵触する恐れがあります。過去に5万円で販売していた期間や回数、販売実績などを証明できる資料を用意しておく必要があります。また、値引き前の価格を「通常価格」と表示する場合、実際にその価格で一定期間販売していた実績が必要です。短い期間しか販売していないにも関わらず、「通常価格」と表示するのは、不当表示にあたる可能性があります。
二重価格表示を行う際には、表示内容の根拠を明確にし、消費者を誤解させるような表示は避ける必要があります。具体的には、値引き前の価格で販売していた期間や販売実績を明確に示す必要があります。また、値引きの理由や期間についても明確に表示する必要があります。消費者に誤解を与えないよう、正確で分かりやすい表示を心がけることが重要です。そうでなければ、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。事業者は、二重価格表示を行う前に、景品表示法をよく理解し、法令遵守を徹底する必要があります。