地震

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地震力と建物の安全性

大地が揺れる時、建物には想像以上の力が加わります。これを地震力と呼び、地震による建物の揺れが原因で発生します。地震の揺れは地面から建物へと伝わり、建物全体を揺らします。この揺れの動きによって、建物には様々な方向から力が加わるのです。 この地震力の大きさは、いくつかの要素によって大きく変わります。まず建物の重さです。重い建物ほど、地震の揺れによって大きな力が生じます。また、建物の高さも重要な要素です。高い建物は、低い建物に比べて揺れ幅が大きくなり、より大きな地震力を受けます。 建物の構造も地震力に大きく影響します。しっかりとした構造の建物は、地震の揺れに耐える力が強く、被害を小さく抑えることができます。逆に、構造が弱い建物は、地震力によって大きな損傷を受ける可能性が高くなります。 地震そのものの規模も地震力の大きさを左右する重要な要素です。規模が大きい地震ほど、地面の揺れは激しくなり、建物にかかる力も大きくなります。さらに、震源からの距離も関係します。震源に近い建物ほど、大きな揺れを感じ、強い地震力を受けることになります。 このように、地震力は様々な要因が複雑に絡み合って決まります。だからこそ、建物を設計する際には、これらの要素を綿密に計算し、地震力に対する備えを万全にする必要があります。地震力を正しく理解することは、安全な建物を建てる上で、そして人々の命を守る上で、非常に大切なことなのです。
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住宅の中破:その意味と影響

家は、私たちが日々を安心して過ごすための大切な場所です。しかし、災害などで大きな被害を受けると、住み続けることが難しくなる場合があります。家が受けた被害の程度を表す言葉の一つに「中破」というものがあります。これは、日常生活を送るのに大きな支障が出るほどの被害が生じている状態を指します。 中破と判断される家の状態は、具体的にどのようなものでしょうか。まず、家の主要な構造部分、例えば柱や梁などに損傷が見られる場合が挙げられます。また、外壁や内壁が大きく剥がれ落ちたり、屋根の一部が破損したりしている場合も中破に該当します。これらの損傷は、大規模な修繕工事が必要となる深刻なものです。 生活に支障が出るというのは、例えば、激しい雨漏りのため部屋が使えなくなったり、壁に大きな亀裂が入って安全が確保できなかったりする状況を指します。また、水道管やガス管が破損し、水やガスが使えなくなる場合も考えられます。このような状態では、応急処置を施したり、本格的な補修工事をしたりしない限り、安心して住み続けることは難しいでしょう。 建物の被害の程度は、一般的に五段階で評価されます。軽いものから順に、軽微、小破、中破、大破、崩壊です。中破は、この五段階評価の真ん中に位置し、小破よりも被害が大きく、大破よりも軽い状態を表します。つまり、家の主要な部分に損傷が見られ、日常生活に大きな支障が出るものの、まだ倒壊の危険性はない状態と言えるでしょう。中破と診断された場合は、専門家の指示に従い、速やかに必要な措置を講じることが大切です。
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安全への道:避難階の重要性

火災や地震など、思いもよらない災害が起こった際に、建物の中にいる人々が安全に建物の外に脱出するための経路となっている階のことを避難階と言います。避難階は、人命を守る上で非常に重要な役割を担っています。文字通り避難するための階であり、非常時の生命線とも言えるでしょう。 避難階には、地上へ通じる出口が必ず設けられています。これは、建物内で火災などの災害が発生した場合でも、中にいる人々が速やかに、かつ安全に建物の外に脱出できる経路を確保するためです。地上に通じる出口は、避難口や階段など、様々な形で設置されています。出口の位置や数は、建物の大きさや用途、階数などによって異なってきます。 建物の構造や用途によって、避難階の設置基準も定められています。例えば、高層ビルや大きな建物には、複数の避難階が設けられています。また、病院や学校など、多くの人が利用する建物では、避難階の幅を広くしたり、手すりなどを設置するなどして、より安全に避難できるように工夫されています。避難階の設置基準は、消防法などの法律によって厳しく定められており、建物の設計や施工の段階で綿密な確認が行われます。 避難階には、火災が発生した際に煙が広がるのを防ぐための防火扉や、非常時に備えて照明設備、誘導灯なども設置されています。これらの設備は、避難の安全性を高める上で欠かせないものです。日頃から避難経路を確認し、非常時の行動をイメージしておくことが大切です。また、避難訓練などに参加して、実際に避難する体験をしておくことも重要です。避難階は、建物の安全性を確保する上で重要な役割を担っていることを理解し、日頃から防災意識を高めておくことが大切です。
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災害時の避難場所:安全確保の心得

大きな地震や、雨による水害、土砂崩れといった自然災害が起こったとき、私たちの命を守る大切な場所、それが避難場所です。災害が発生してすぐ、家が壊れてしまうかもしれないときや、津波やがけ崩れといった危険が迫っているとき、一時的に逃げる場所として避難場所は役立ちます。 避難場所は、被災した人々が安心して過ごせる場所です。また、必要な情報や支援を受けるための窓口としての役割も担っています。危険が去るまで、あるいは安全な場所に移動できるようになるまで、避難場所で過ごすことになります。ですから、避難場所の役割と大切さを理解しておくことは、とても重要です。 避難場所には、学校や公民館、公園などが指定されています。普段から、自分の家の近くの避難場所がどこにあるのかを確認しておきましょう。また、家族と避難場所について話し合っておくことも大切です。災害時は、混乱が生じやすく、情報も限られています。あらかじめ避難経路や連絡方法などを決めておくことで、スムーズに避難することができます。 避難場所では、多くの人が共同生活を送ることになります。限られた資源の中で過ごすことになりますので、お互いに助け合い、譲り合う気持ちが大切です。また、避難場所の運営に協力することも重要です。 日頃から防災意識を高め、避難場所の役割を理解し、災害に備えておくことが、自分の命、そして大切な人の命を守ることに繋がります。
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ロッキング現象と住宅の安全

地震は、私たちの暮らしに大きな影を落とす自然災害です。大地が揺れる時、建物はあらゆる方向から力を受けて壊れてしまいます。近年、建物の地震に耐える強さへの関心が高まり、様々な工夫が凝らされています。 その中で、「揺れ動き現象」と呼ばれる現象が注目を集めています。これは、地震が起きた時、建物が地面から少し浮き上がり、揺れが静まると共に地面に落ちることを繰り返す現象です。一見、建物が倒れないので安全そうに見えますが、繰り返される衝撃は、建物に大きな傷を与える可能性があります。家の土台や柱にひびが入ったり、壁が崩れたりするなど、住む人の命を脅かす危険性も潜んでいます。 この揺れ動き現象は、地震の揺れの大きさや長さ、地盤の固さ、建物の形など、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。例えば、柔らかい地盤の上に建つ建物は、固い地盤の上に建つ建物よりも揺れ動き現象が起こりやすいと言われています。また、建物の重心の位置が高い場合も、この現象が起こりやすくなります。 揺れ動き現象への対策としては、建物の基礎を深く頑丈にする、建物の重心を低くする、といった方法が有効です。地盤改良工事を行い、地盤そのものを強化することで、建物の揺れを少なくすることも可能です。さらに、免震装置や制震装置などの技術を導入することで、地震のエネルギーを吸収し、建物へのダメージを軽減することもできます。 揺れ動き現象への理解を深め、適切な対策を施すことは、安全な住まいを確保するために欠かせません。地震による被害を最小限に抑え、安心して暮らせるように、日頃から備えを怠らないようにしましょう。家づくりを検討する際には、耐震性だけでなく、揺れ動き現象への対策についても、専門家とよく相談することが大切です。
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建物の安全を守る再現期間

災害の規模を示す指標の一つに、再現期間というものがあります。再現期間とは、ある規模の災害が、平均してどれくらいの期間をおいて再び起こるかを示す期間のことです。例えば、ある規模の洪水の再現期間が百年だとしましょう。これは、平均すると百年ごとに一度、同じ規模の洪水が発生することを意味しています。つまり、百年間に一度発生する規模の洪水は、一年間に百分の一の確率で発生すると考えられます。 ただし、これはあくまでも平均的な期間です。百年後に必ずその規模の洪水が起きるというわけではありませんし、来年起きないとも限りません。もしかしたら来年起きるかもしれませんし、二百年後まで起きないかもしれません。百年というのはあくまでも平均の値であり、災害の発生は確率的な事象であることを理解しておく必要があります。 この再現期間は、過去の災害記録や気象情報、地盤の調査結果などを用いて、統計的に計算されます。そして、こうして算出された再現期間は、様々な場面で役立てられています。例えば、洪水に備えた堤防の設計では、どの程度の規模の洪水を想定するかを決める際に、この再現期間が参考にされます。百年単位で起こる大規模な洪水を想定するのであれば、堤防もそれに耐えられる高さに設定する必要があります。また、建物を設計する際にも、地震の再現期間を考慮して、建物の強度を決めることが大切です。 再現期間を正しく理解することは、災害による危険性を適切に判断し、防災対策を講じる上で非常に重要です。私たちは再現期間を参考に、災害に備えた心構えや対策を常に心がける必要があります。
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大破した家の補修と判断

大破とは、住家が大きな被害を受けて、住むことができない状態を指します。これは、建物の骨組みや内外装に深い傷が見られる場合です。普段の生活を送るためには、大掛かりな修理工事が必要になるか、時には建物を壊す必要があるほどの損害です。壁に小さなひびが入ったり、屋根が少し壊れたりするような軽い傷とは違い、建物の安全性や使い勝手に大きな影響を与えるレベルの被害を大破と言います。 例えば、地震で柱が傾いたり、基礎部分が傷ついたりする場合は大破に当てはまります。また、火事で広い範囲が焼け焦げた場合も大破です。水害で床下や壁が腐ってしまい、建物の強度が大きく落ちてしまった場合も同様です。これらの場合、住人は安全な暮らしを送ることが難しくなり、建物の修理か取り壊しが必要となる深刻な状態になります。 大破かどうかを判断するには、専門家が細かく調べた上で判断します。修理するか壊すかの判断も慎重に行う必要があります。なぜなら、大破した建物を簡単に修理してしまうと、将来もっと大きな問題が起こるかもしれないからです。 大破の判断基準は、被害の程度だけでなく、建物の種類や築年数、立地条件なども考慮されます。例えば、古い木造家屋は新しい鉄筋コンクリート造の建物に比べて、同じ程度の被害でも大破と判断される可能性が高くなります。また、崖の近くに建っている家などは、地盤が不安定なため、より慎重な判断が必要となります。 大破した建物は、修理費用が高額になることが多く、場合によっては建物を建て直すよりも費用がかかることもあります。そのため、火災保険や地震保険などの損害保険に加入している場合は、保険金の請求を検討する必要があります。保険会社は専門の鑑定人を派遣し、被害状況を調査した上で保険金を支払います。ただし、保険の種類や契約内容によっては、保険金が支払われない場合もありますので、事前に確認しておくことが大切です。
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揺れの強さを知る:ガルという単位

地震の揺れの勢いを表す指標として、「ガル」という単位があります。 これは、加速度を表す単位で、揺れの激しさを理解する上で重要な役割を担っています。 簡単に言うと、ガルは1秒間にどれくらい速度が変化するかを示すものです。たとえば、100ガルというと、1秒間に速度が100センチメートル毎秒変化することを意味します。つまり、ガル値が大きいほど、揺れが激しいと言えるのです。 たとえば、エレベーターに乗った時のことを想像してみてください。動き始めた瞬間や止まる瞬間に、体にぐっと力が加わる感覚を覚えることがあります。これは、エレベーターが加速または減速しているためです。この時の加速度もガルで表すことができます。 ただし、ガル値が大きいからといって、必ずしも被害が大きいとは限りません。 地震による被害の程度は、加速度だけでなく、揺れの周期や継続時間など、さまざまな要素が複雑に関係しています。 たとえば、同じ100ガルの揺れでも、短時間に急激に揺れる場合と、長い時間ゆっくり揺れる場合では、建物や人体への影響が大きく異なります。 また、建物の構造や地盤の特性によっても、揺れに対する影響は変わってきます。同じガル値の地震でも、地盤が軟弱な場所では揺れが増幅され、被害が大きくなる可能性があります。 ガルは揺れの勢いを測る一つの目安ではありますが、被害の大きさを直接的に示すものではないということを理解しておくことが大切です。地震のニュースなどでガル値が報じられた際には、他の情報と合わせて総合的に判断するようにしましょう。
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住宅の損傷とその対策

住まいには、様々な理由で傷みが生じます。時の流れとともに自然に劣化していくもの、地震や台風といった天災によるもの、そして不適切な工事や日ごろの手入れ不足によるものなど、原因は実に様々です。これらの傷みは、小さなものから住まいの役割を果たせなくなる大きなものまで、程度も様々です。例えば、壁のひびや塗料の剥がれなどは、比較的小さな傷みと言えるでしょう。しかし、そのままにしておくと、雨水がしみ込み、柱や梁などの構造材を腐らせてしまうなど、より深刻な傷みにつながる恐れがあります。また、地震によって柱や梁が傷ついた場合、住まいの揺れに対する強さが弱まり、倒壊の危険性が高まります。 傷みは大きく分けて、建物の構造に関わるものと、そうでないものに分けることができます。構造に関わる傷みとは、柱や梁、基礎部分などの主要な構造材に生じた傷みのことです。これらの傷みは、住まいの安全性に直接影響するため、特に注意が必要です。一方、構造に関わらない傷みとは、壁のひびや屋根の傷み、設備の故障などです。これらの傷みは、すぐに住まいの安全性に影響することは少ないですが、放置すると構造に関わる傷みに発展する可能性もあるため、注意が必要です。 このように、傷みの種類や程度をきちんと把握することは、適切な対策を立てる上でとても大切です。小さな傷みであっても、早く見つけて適切な修繕をすることで、大きな傷みになるのを防ぎ、住まいの寿命を延ばすことにつながります。普段から住まいの状態をチェックし、少しでも異変に気づいたら、専門家に見てもらうようにしましょう。専門家は、傷みの原因や程度を的確に判断し、適切な修繕方法を提案してくれます。また、定期的な点検やメンテナンスを行うことも、傷みを早期に発見し、大きな損害を防ぐ上で効果的です。
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建物の安全を守る設計震度

大地の揺れに耐える建物の強さを示す値として、設計震度というものがあります。これは、建物だけでなく、橋やトンネルといった構造物にも適用される大切な数値です。地震は地面を揺らし、建物などに力を加えます。この力の大きさは加速度という単位で表されます。設計震度は、地震発生時に構造物が耐えなければならない加速度の大きさを定めたものです。つまり、設計震度の数値が大きいほど、より強い地震の揺れにも耐えられるように設計されていることを意味します。 この設計震度は、建物の設計段階で非常に重要な要素となります。安全な建物を建てるためには、この値を無視することはできません。設計震度は、過去の地震で得られた情報や、その土地の地盤の特徴などを綿密に調べて、地域ごとに決められています。建物を設計する人は、その地域の設計震度を基準にして、建物の構造や使う材料を決めます。柱を太くする、壁を厚くする、といった工夫も設計震度に基づいて行われます。 このように、設計震度を考慮して建物を設計することで、地震が発生した場合でも、建物が倒壊するのを防いだり、大きな損傷を受けにくくしたりすることができます。結果として、人々の安全を守ることにつながります。また、家具の転倒防止対策なども、地震による揺れの大きさを想定し、被害を最小限に抑えるために重要です。日頃から地震への備えを怠らないようにしましょう。例えば、家具の固定や非常持ち出し袋の準備など、一人ひとりができることから始めて、安全な暮らしを築くことが大切です。
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建物の揺れと固有振動数

すべての物は、揺れやすい固有の振動数を持っています。建物も例外ではありません。この固有振動数とは、物体が自由に振動できる振動数のことを指します。ブランコを例に考えてみましょう。ブランコを効率よく揺らすには、一定のリズムで力を加える必要があります。このリズムがブランコの固有振動数と一致すると、小さな力でもブランコは大きく揺れます。これは、ブランコと加える力が共振と呼ばれる現象を起こしているからです。 建物にも同じように固有振動数があり、地震の揺れの振動数が建物の固有振動数と一致すると、共振現象が起こり、建物は大きく揺れてしまいます。この共振が、地震による建物の被害を大きくする要因の一つです。地震の揺れは様々な振動数を含んでいますが、建物の固有振動数に近い振動数が含まれていると、建物は共振しやすくなります。 建物の固有振動数は、建物の形、高さ、材料、構造など様々な要素によって決まります。一般的に、高い建物は固有振動数が低く、低い建物は固有振動数が高い傾向があります。これは、高い建物は重心が高いため揺れやすく、低い建物は重心が低いため揺れにくいという性質によるものです。また、建物の材料や構造によっても固有振動数は変化します。例えば、鉄筋コンクリート造の建物と木造の建物では、同じ高さでも固有振動数が異なります。 耐震設計においては、建物の固有振動数を考慮することが重要です。地震による被害を軽減するために、建物の固有振動数を予測し、共振が起こりにくいように設計する必要があります。具体的には、建物の形状や構造を工夫したり、制振装置を設置したりすることで、共振の影響を小さくすることができます。
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建物を守る!剪断力の秘密

物を切るはさみ、または物を横にずらす力、それが剪断力です。はさみで紙を切る時、二枚の刃は紙に対して平行に向かい合い、それぞれ反対方向に力を加えます。この、平行で逆向きの力こそが剪断力です。物体はこの力によって変形し、最終的には壊れます。 剪断力は、私たちの身の回りでも様々なところで見られます。例えば、地震の際、建物は地面の揺れによって横に揺さぶられます。この時、建物の壁や柱には剪断力が発生します。剪断力に耐えられなければ、壁にひびが入ったり、柱が折れたり、最悪の場合、建物は倒壊してしまいます。ですから、建物を設計する際には、地震による剪断力に耐えられる強さを持たせることが非常に重要になります。 また、地面の中でも剪断力は重要な役割を果たします。地面に剪断力が加わると、地すべりが発生する可能性があります。山の斜面が剪断力に耐えられなくなると、土砂が崩れ落ちて大きな災害を引き起こすことがあります。さらに、液状化現象も剪断力と深く関わっています。地震の際に、地下水位の高い砂地盤では、剪断力によって砂粒子の間にある水が押し出され、地面が液体のようにドロドロになってしまうことがあります。この現象が液状化現象で、建物が傾いたり、地面に沈み込んだりするなどの被害が発生します。 このように、剪断力は私たちの生活に大きな影響を与える力です。建物や地面の安全性を確保するためには、剪断力に対する十分な理解と対策が必要不可欠です。
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地震に強い家とは?水平震度を理解しよう

地震による建物の揺れは、人命や財産に甚大な被害をもたらす大きな脅威です。揺れの大きさを表す指標として水平震度があり、建物の耐震設計において重要な役割を担っています。水平震度とは、地震の際に建物に水平方向にどの程度の力が加わるかを示す尺度です。地震発生時には、地面は上下左右あらゆる方向に揺れますが、建物にとって特に危険なのが水平方向の揺れです。 水平方向の揺れは、建物の構造に横方向の力を加え、壁のひれつや柱の折れ曲がりを引き起こす可能性があります。このような損傷は、建物の倒壊に繋がりかねないため、水平震度を把握し、適切な耐震対策を講じることが重要です。 水平震度は、地震の規模(マグニチュード)だけでなく、震源からの距離や地盤の性質にも影響を受けます。同じ規模の地震でも、震源に近いほど、地盤が軟らかいほど、揺れは増幅され、水平震度は高くなる傾向があります。例えば、震源から遠く離れた固い岩盤の地域と、震源に近い埋め立て地の地域では、同じ地震でも揺れの大きさが大きく異なる場合があります。 建物の耐震性を評価する際には、想定される地震の規模や地域の地盤特性に基づいて、最大限の水平震度を予測します。そして、その予測値に基づいて建物の構造計算を行い、必要な耐震強度を確保することで、地震による被害を最小限に抑えることができます。近年では、地盤の揺れやすさを考慮した微動探査など、地盤調査の技術も進歩しており、より精度の高い耐震設計が可能となっています。建物の設計や購入を検討する際には、地域の地震リスクや建物の耐震性能について、専門家に相談することをお勧めします。
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激震、かつての最大震度

激震とは、かつて日本で使われていた地震の揺れの強さを示す言葉です。今でいう震度に当たるものですが、計測方法が大きく異なっていました。現在の地震計による計測とは違い、主に被害の状況から判断されていたのです。気象庁が公式に用いていた言葉であり、人々の暮らしに甚大な被害を与える、非常に激しい揺れを指していました。 具体的には、家屋の倒壊率が3割以上に達するような状況です。想像してみてください。あたり一面の家々が倒壊し、瓦礫の山と化している光景を。これはまさに、大地の猛威を目の当たりにする、恐ろしい出来事だったと言えるでしょう。さらに、激震は家屋への被害だけでなく、大地そのものにも大きな変動をもたらしました。山崩れや地割れ、断層の発生なども、激震に伴う現象として認識されていたのです。山が崩れ落ち、大地が裂け、地層がずれ動く。人々の生活の基盤である建物や土地が、激震によって大きく損なわれてしまうのです。 当時の地震計や観測技術では、現在の様に詳細な震度の計測は難しかったのです。そのため、揺れそのものを数値で測るのではなく、結果として現れた被害状況から、揺れの大きさを推定せざるを得ませんでした。家屋の倒壊率や、山崩れの規模など、目に見える被害の状況が、激震という言葉で表現されていたのです。激震という言葉からは、科学的な計測に基づいたものではなく、人々が実際に体験した恐怖や、目の当たりにした被害の甚大さが強く感じられます。
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震度を知って、地震に備えよう

地震の揺れの強さを表す尺度として、震度があります。地震は、地下深くで大地が急にずれ動くことで発生し、その際に生じた振動が波のように地面を伝わって広がります。この波が私たちの住む場所に届いたときの揺れの強さを数値で表したものが震度です。 震度は0から7までの10段階で表現され、揺れがほとんど感じられない震度0から、立っていることができないほどの非常に激しい揺れとなる震度7まで細かく分類されています。震度1では、一部の人が揺れを感じる程度ですが、震度4になると、ほとんどの人が揺れを感じ、棚にある物が落ちたり、歩行に困難を感じることもあります。さらに震度5では、壁にひびが入ったり、墓石が倒れるなどの被害が出始めます。そして震度6では、耐震性の低い建物が倒壊するなど、大きな被害が発生します。震度7に至っては、ほとんどの建物が倒壊し、山崩れや地割れなどの大規模な災害が起こることもあります。 震度と地震の規模を表すマグニチュードは異なるものです。マグニチュードは地震そのもののエネルギーの大きさを示すのに対し、震度は特定の場所における揺れの強さを示します。同じ地震でも、震源からの距離や、地盤の固さ、建物の構造などによって、体感する揺れの強さは異なり、震度も違ってきます。震源に近い場所ほど震度は大きくなりますし、地盤が柔らかい場所では揺れが増幅されるため、震度が大きくなる傾向があります。また、同じ震度であっても、建物の耐震性によって被害の程度は大きく変わります。 地震が発生した際に速やかに震度情報を知ることができれば、身の安全を守るための行動をとる判断材料になります。緊急地震速報や、テレビ、ラジオ、インターネットなどを通して提供される震度情報に注意し、適切な行動をとるようにしましょう。
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建物の安全を守る偏心率とは?

建物は地震や強風などの外力を受けると、揺れが生じます。この揺れの大きさや建物の負担を左右する重要な要素の一つに、偏心率があります。偏心率とは、建物の重心と剛心のずれを数値で表したものです。 建物の重心とは、建物全体の重さが一点に集中していると仮定した点です。建物全体をバランスよく支えることができる点とも言えます。一方、剛心とは、建物の強度の中心となる点です。外力が加わった際に、建物はこの剛心を中心に抵抗しようとします。 理想的な状態は、重心と剛心が一致していることです。この場合、偏心率は0となり、外力が加わっても建物全体に均等に力が分散されます。しかし、実際には建物の形状や内部構造、使用する材料など様々な要因により、重心と剛心は完全に一致することは稀です。 重心と剛心がずれている、つまり偏心率が大きいほど、建物はねじれを起こしやすくなります。地震や強風時に、建物の一部分に大きな力が集中し、他の部分はあまり力がかからないといった状態になり、局所的に大きな負担がかかることになります。これは、建物の一部の柱や梁に亀裂が生じたり、最悪の場合には倒壊につながる危険性を高めます。 そのため、建物の設計段階では、この偏心率を適切な範囲に収めることが非常に重要です。具体的には、建物の配置や構造を工夫したり、耐震壁を適切に配置することで、重心と剛心を近づける努力がなされます。偏心率を小さく抑えることで、地震や強風に対する建物の安全性を高め、長く安心して暮らせる建物を築き上げることができるのです。