
占有と所有:不動産における重要な違い
占有とは、物を自分の意思で直接的に支配している状態のことを指します。物を実際に支配しているということが重要で、単にその物がある場所に存在しているだけでは占有しているとは言えません。例えば、自宅に住んでいる人は、その家を自由に使い、管理しているので、家の占有者と言えるでしょう。また、借りている駐車場に車を停めている人も、その場所を自分のために使っているので、駐車場を占有しています。
占有において重要なのは、物を支配しているという事実だけで、法的な所有権の有無は関係ありません。自分の物でなくても、他人の物であっても、実際に支配していれば占有となります。例えば、他人の土地に無断でテントを張って住んでいる場合、たとえ所有権がないとしても、その人はテントと土地の一部を占有していることになります。同様に、図書館で本を借りている場合、借りている期間中はその本を占有しています。所有者は図書館ですが、借りている間はその人が支配しているからです。このように、占有と所有は全く別の概念です。占有しているからといって、必ずしも所有権を持っているとは限りませんし、逆に所有権を持っているからといって、必ずしも占有しているとは限りません。例えば、海外に住んでいる人が日本の実家を所有していても、実際に住んでいなければ実家を占有しているとは言えません。
占有は法律によって保護されている権利です。これを占有権と言います。占有権は、所有権とは独立した権利であり、占有している人が自分の占有状態を守ることができるように定められています。例えば、無断で他人に物を取られた場合、たとえその物の所有者でなくても、占有者として返還を請求することができます。これは、占有という状態を法律が守っているからです。占有権があることで、社会の秩序と個人の生活が守られていると言えるでしょう。