透過損失

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騒音を防ぐ!透過損失とは?

建物に住む時、外の音がどれくらい聞こえてくるかは、住み心地に大きく関わってきます。この音の聞こえにくさを示す尺度の一つに、透過損失というものがあります。透過損失とは、壁や窓といった建物の部分が、どれほど音を遮断できるかを示す数値です。音は空気の振動として伝わります。音が壁などに当たると、一部は跳ね返り、一部は壁に吸収され、そして残りは壁を通り抜けてしまいます。この、壁を通り抜ける音の量を数値で表したものが透過損失です。 透過損失の値は、デシベル(記号dB)という単位で表されます。この値が大きいほど、遮音性能が高いことを意味します。つまり、透過損失が大きいほど、音は遮断されやすく、静かな空間を作ることができるのです。例えば、静かな図書館と、交通量の多い道路に面した家を考えてみましょう。図書館では、外の車の音や話し声などがほとんど聞こえてきません。一方、道路に面した家では、車の走行音やクラクションなどが室内まで聞こえてくることがあります。これは、図書館の壁や窓の透過損失が、道路沿いの家のものよりも高いためです。図書館は、音を遮断する力が強い壁や窓で建てられているため、静かな環境が保たれているのです。 この透過損失は、建物を設計する段階で非常に重要な要素となります。快適な住まいを作るためには、どの程度の静けさが求められるかを考え、適切な透過損失値を持つ材料を選んで壁や窓などを設計する必要があります。もし、必要な透過損失を確保しないと、外の騒音が室内に響き渡り、安らかな生活を送ることが難しくなってしまいます。そのため、設計者は建物の用途や周辺環境に応じて、適切な透過損失値を計算し、快適な空間を実現する必要があるのです。