防災対策

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建物の安全を守る再現期間

災害の規模を示す指標の一つに、再現期間というものがあります。再現期間とは、ある規模の災害が、平均してどれくらいの期間をおいて再び起こるかを示す期間のことです。例えば、ある規模の洪水の再現期間が百年だとしましょう。これは、平均すると百年ごとに一度、同じ規模の洪水が発生することを意味しています。つまり、百年間に一度発生する規模の洪水は、一年間に百分の一の確率で発生すると考えられます。 ただし、これはあくまでも平均的な期間です。百年後に必ずその規模の洪水が起きるというわけではありませんし、来年起きないとも限りません。もしかしたら来年起きるかもしれませんし、二百年後まで起きないかもしれません。百年というのはあくまでも平均の値であり、災害の発生は確率的な事象であることを理解しておく必要があります。 この再現期間は、過去の災害記録や気象情報、地盤の調査結果などを用いて、統計的に計算されます。そして、こうして算出された再現期間は、様々な場面で役立てられています。例えば、洪水に備えた堤防の設計では、どの程度の規模の洪水を想定するかを決める際に、この再現期間が参考にされます。百年単位で起こる大規模な洪水を想定するのであれば、堤防もそれに耐えられる高さに設定する必要があります。また、建物を設計する際にも、地震の再現期間を考慮して、建物の強度を決めることが大切です。 再現期間を正しく理解することは、災害による危険性を適切に判断し、防災対策を講じる上で非常に重要です。私たちは再現期間を参考に、災害に備えた心構えや対策を常に心がける必要があります。
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激震、かつての最大震度

激震とは、かつて日本で使われていた地震の揺れの強さを示す言葉です。今でいう震度に当たるものですが、計測方法が大きく異なっていました。現在の地震計による計測とは違い、主に被害の状況から判断されていたのです。気象庁が公式に用いていた言葉であり、人々の暮らしに甚大な被害を与える、非常に激しい揺れを指していました。 具体的には、家屋の倒壊率が3割以上に達するような状況です。想像してみてください。あたり一面の家々が倒壊し、瓦礫の山と化している光景を。これはまさに、大地の猛威を目の当たりにする、恐ろしい出来事だったと言えるでしょう。さらに、激震は家屋への被害だけでなく、大地そのものにも大きな変動をもたらしました。山崩れや地割れ、断層の発生なども、激震に伴う現象として認識されていたのです。山が崩れ落ち、大地が裂け、地層がずれ動く。人々の生活の基盤である建物や土地が、激震によって大きく損なわれてしまうのです。 当時の地震計や観測技術では、現在の様に詳細な震度の計測は難しかったのです。そのため、揺れそのものを数値で測るのではなく、結果として現れた被害状況から、揺れの大きさを推定せざるを得ませんでした。家屋の倒壊率や、山崩れの規模など、目に見える被害の状況が、激震という言葉で表現されていたのです。激震という言葉からは、科学的な計測に基づいたものではなく、人々が実際に体験した恐怖や、目の当たりにした被害の甚大さが強く感じられます。
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震度を知って、地震に備えよう

地震の揺れの強さを表す尺度として、震度があります。地震は、地下深くで大地が急にずれ動くことで発生し、その際に生じた振動が波のように地面を伝わって広がります。この波が私たちの住む場所に届いたときの揺れの強さを数値で表したものが震度です。 震度は0から7までの10段階で表現され、揺れがほとんど感じられない震度0から、立っていることができないほどの非常に激しい揺れとなる震度7まで細かく分類されています。震度1では、一部の人が揺れを感じる程度ですが、震度4になると、ほとんどの人が揺れを感じ、棚にある物が落ちたり、歩行に困難を感じることもあります。さらに震度5では、壁にひびが入ったり、墓石が倒れるなどの被害が出始めます。そして震度6では、耐震性の低い建物が倒壊するなど、大きな被害が発生します。震度7に至っては、ほとんどの建物が倒壊し、山崩れや地割れなどの大規模な災害が起こることもあります。 震度と地震の規模を表すマグニチュードは異なるものです。マグニチュードは地震そのもののエネルギーの大きさを示すのに対し、震度は特定の場所における揺れの強さを示します。同じ地震でも、震源からの距離や、地盤の固さ、建物の構造などによって、体感する揺れの強さは異なり、震度も違ってきます。震源に近い場所ほど震度は大きくなりますし、地盤が柔らかい場所では揺れが増幅されるため、震度が大きくなる傾向があります。また、同じ震度であっても、建物の耐震性によって被害の程度は大きく変わります。 地震が発生した際に速やかに震度情報を知ることができれば、身の安全を守るための行動をとる判断材料になります。緊急地震速報や、テレビ、ラジオ、インターネットなどを通して提供される震度情報に注意し、適切な行動をとるようにしましょう。